のである。あの、道をふさいでいる神のところへ行ってそう言って来い。大空の神のお子がおくだりになろうとするのに、そのお通り道を妨《さまた》げているおまえは何者かと、しっかり責《せ》めただして来い」とお言いつけになりました。
 宇受女命《うずめのみこと》はさっそくかけつけて、きびしくとがめたてました。すると、その神は言葉《ことば》をひくくして、
「私は下界の神で名は猿田彦神《さるたひこのかみ》と申します者でございます。ただいまここまで出てまいりましたのは、大空の神のお子さまがまもなくおくだりになると承りましたので、及《およ》ばずながら私がお道|筋《すじ》をご案内申しあげたいと存じまして、お迎えにまいりましたのでございます」とお答え申しました。
 大神はそれをお聞きになりましてご安心なさいました。そして天児屋根命《あめのこやねのみこと》、太玉命《ふとだまのみこと》、天宇受女命《あめのうずめのみこと》、石許理度売命《いしこりどめのみこと》、玉祖命《たまのおやのみこと》の五人を、お孫さまの命《みこと》のお供の頭《かしら》としておつけ添《そ》えになりました。そしておしまいにお別れになるときに、八尺
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