よくその場で死んでおしまいになりました。
それで建御雷神《たけみかずちのかみ》は、さっそく、出雲国《いずものくに》の多芸志《たぎし》という浜にりっぱな大きなお社《やしろ》をたてて、ちゃんと望みのとおりにまつりました。そして櫛八玉神《くしやたまのかみ》という神を、お供《そな》えものを料理する料理人にしてつけ添《そ》えました。
すると八玉神《やたまのかみ》は、う[#「う」に傍点]になって、海の底《そこ》の土をくわえて来て、それで、いろんなお供えものをあげるかわらけをこしらえました。
それからある海草の茎《くき》で火切臼《ひきりうす》と火切杵《ひきりぎね》という物をこしらえて、それをすり合わせて火を切り出して、建御雷神《たけみかずちのかみ》に向かってこう言いました。
「私が切ったこの火で、そこいらが、大空の神の御殿のお料理場のように、すすでいっぱいになるまで欠かさず火をたき、かまどの下が地の底の岩のように固《かた》くなるまで絶えず火をもやして、りょうしたちの取って来る大すずきをたくさんに料理して、大空の神の召しあがるようなりっぱなごちそうを、いつもいつもお供えいたします」と言いました。
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