むけに突《つ》き立てて、そのきっさきの上にあぐらをかきながら、大国主神《おおくにぬしのかみ》に談判をしました。
「わしたちは天照大神《あまてらすおおかみ》と高皇産霊神《たかみむすびのかみ》とのご命令で、わざわざお使いにまいったのである。大神はおまえが治めているこの葦原《あしはら》の中《なか》つ国《くに》は、大神のお子さまのお治めになる国だとおっしゃっている。そのおおせに従って大神のお子さまにこの国をすっかりお譲《ゆず》りなさるか。それともいやだとお言いか」と聞きますと、大国主神《おおくにぬしのかみ》は、
「これは私からはなんともお答え申しかねます。私よりも、むすこの八重事代主神《やえことしろぬしのかみ》が、とかくのご返事を申しあげますでございましょうが、あいにくただいま御大《みお》の崎《さき》へりょうにまいっておりますので」とおっしゃいました。
建御雷神《たけみかずちのかみ》はそれを聞くと、すぐに天鳥船神《あめのとりふねのかみ》を御大《みお》の崎《さき》へやって、事代主神《ことしろぬしのかみ》を呼《よ》んで来させました。そして大国主神に言ったとおりのことを話しました。
すると事代主
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