大神と高皇産霊神《たかみむすびのかみ》とは、さっそく天安河《あめのやすのかわ》の河原に、おおぜいの神々をすっかりお召《め》し集めになって、
「あの水穂国《みずほのくに》は、私たちの子孫《しそん》が治めるはずの国であるのに、今あすこには、悪強い神たちが勢い鋭く荒れまわっている。あの神たちを、おとなしくこちらの言うとおりにさせるには、いったいだれを使いにやったものであろう」とこうおっしゃって、みんなにご相談をなさいました。
 すると例のいちばん考え深い思金神《おもいかねのかみ》が、みんなと会議をして、
「それには天菩比神《あめのほひのかみ》をおつかわしになりますがよろしゅうございましょう」と申しあげました。そこで大神は、さっそくその菩比神《ほひのかみ》をおくだしになりました。
 ところが菩比神《ほひのかみ》は、下界へつくと、それなり大国主神《おおくにぬしのかみ》の手下になってしまって、三年たっても、大空へはなんのご返事もいたしませんでした。
 それで大神と高皇産霊神《たかみむすびのかみ》とは、またおおぜいの神々をお召《め》しになって、
「菩比神《ほひのかみ》がまだ帰ってこないが、こんどはだ
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