人ではとてもできはしない」と、こう言ってくださいました。
「それではどんなふうにおまつり申せばいいのでございますか」とお聞きになりますと、
「大和《やまと》の御諸《みもろ》の山の上にまつってくれればよい」とおっしゃいました。
 大国主神はお言葉《ことば》のとおりに、そこへおまつりして、その神さまと二人でまただんだんに国を広げておゆきになりました。
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 きじのお使《つか》い

       一

 そのうちに大空の天照大神《あまてらすおおかみ》は、お子さまの天忍穂耳命《あめのおしほみみのみこと》に向かって、
「下界に見える、あの豊葦原水穂国《とよあしはらのみずほのくに》は、おまえが治めるべき国である」とおっしゃって、すぐにくだって行くように、お言いつけになりました。命《みこと》はかしこまっておりていらっしゃいました。しかし天《あめ》の浮橋《うきはし》の上までおいでになって、そこからお見おろしになりますと、下では勢いの強い神たちが、てんでんに暴《あば》れまわって、大さわぎをしているのが見えました。命は急いでひきかえしていらしって、そのことを大神にお話しになりました。
 それで
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