それを神産霊神《かみむすびのかみ》がお取り集めになって、日本じゅうの穀物《こくもつ》の種になさいました。
 須佐之男命《すさのおのみこと》は、そのまま下界へおりておいでになりました。
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 八俣《やまた》の大蛇《おろち》

       一

 須佐之男命《すさのおのみこと》は、大空から追いおろされて、出雲《いずも》の国の、肥《ひ》の河《かわ》の河上《かわかみ》の、鳥髪《とりかみ》というところへおくだりになりました。
 すると、その河《かわ》の中にはしが流れて来ました。命《みこと》は、それをご覧《らん》になって、
「では、この河の上の方には人が住んでいるな」とお察しになり、さっそくそちらの方へ向かって探《さが》し探しおいでになりました。そうすると、あるおじいさんとおばあさんとが、まん中に一人の娘《むすめ》をすわらせて三人でおんおん泣《な》いておりました。
 命は、おまえたちは何者かとおたずねになりました。
 おじいさんは、
「私は、この国の大山津見《おおやまつみ》と申します神の子で、足名椎《あしなずち》と申します者でございます。妻の名は手名椎《てなずち》、この娘の名は
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