みました。采女《うねめ》はそれとも気がつかないで、なおどんどんおつぎ申しました。天皇はふと、その木の葉をご覧《らん》になりますと、たちまちむッとお怒《いか》りになって、いきなり采女《うねめ》をつかみ伏《ふ》せておしまいになり、お刀をおぬきになって、首を切ろうとなさいました。采女《うねめ》は、
「あッ」と怖《おそ》れちぢかんで、
「どうぞ命《いのち》だけはお許しくださいまし。申しあげたいことがございます」と言いながら、つぎのような意味の、長い歌を歌いました。
「このお宮は、朝日も夕日もよくさし入る、はればれとしたよいお宮である。堅《かた》い地伏《ぢふく》の上に立てられた、がっしりした大きなお宮である。お宮のそとには大きなけやきの木がそびえたっている。その大木《たいぼく》の上の枝《えだ》は天をおおっている。中ほどの枝は東の国においかぶさり、下の枝はそのあとの地方をすっかりおおっている。上の枝のこずえの葉は、落ちて中の枝にかかり、中の枝の落ちた葉は下の枝にふりかかる。下の枝の葉は采女《うねめ》が捧《ささ》げたおさかずきの中へ落ち浮《う》かんだ。
 それを見ると、大昔《おおむかし》、天地がはじ
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