」とその悪者《わるもの》の老人は言いました。
 お二人は、それから河内《かわち》の玖須婆川《くすばがわ》という川をお渡《わた》りになり、とうとう播磨《はりま》まで逃げのびていらっしゃいました。そして固くご身分をかくして、志自牟《しじむ》という者のうちへ下男におやとわれになり、いやしいうし飼、うま飼の仕事《しごと》をして、お命をつないでいらっしゃいました。
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 とんぼのお歌

       一

 大長谷皇子《おおはつせのおうじ》は、まもなく雄略天皇《ゆうりゃくてんのう》としてご即位《そくい》になり、大和《やまと》の朝倉宮《あさくらのみや》にお移《うつ》りになりました。皇后には、例《れい》の大日下王《おおくさかのみこ》のお妹さまの若日下王《わかくさかのみこ》をお立てになりました。
 その若日下王《わかくさかのみこ》が、まだ河内《かわち》の日下《くさか》というところにいらしったときに、ある日天皇は、大和《やまと》からお近道《ちかみち》をおとりになり、日下《くさか》の直越《ただごえ》という峠《とうげ》をお越《こ》えになって、王《みこ》のところへおいでになったことがありました。

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