そのとき天皇は、山の上から四方の村々をお見わたしになりますと、向こうの方に、一|軒《けん》、むねにかつお木をとりつけているうちがありました。かつお木というのは、天皇のお宮か、神さまのお社《やしろ》かでなければつけないはずの、かつおのような形をした、むねの飾《かざ》りです。
 天皇はそれをご覧《らん》になって、
「あの家はだれの家か」とおたずねになりました。
「あれは志幾《しき》の大県主《おおあがたぬし》のうちでございます」と、お供の者がお答え申しました。天皇は、
「無礼なやつめ。おのれが家をわしのお宮に似《に》せて作っている」とお怒《いか》りになり、
「行ってあの家を焼きはらって来い」とおっしゃって、すぐに人をおつかわしになりました。
 すると大県主《おおあがたぬし》はすっかりおそれいってしまいました。
「実は、おろかな私どものことでございますので、ついなんにも存じませんで、うっかりこしらえましたものでございます」と言って、縮《ちぢ》みあがってお申しわけをしました。そして、そのおわびの印《しるし》に、一ぴきの白いぬにぬのを着せ、鈴《すず》の飾《かざ》りをつけて、それを身内《みうち》の
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