》のお仮屋へ出かけておいでになりました。こちらでは、皇子《おうじ》はまだよくおよっていらっしゃいました。王《みこ》は、皇子のおつきの者に向かって、
「まだお目ざめでないようだね。もう夜《よ》も明けたのだから、早くお出かけになるように申しあげよ」とおっしゃって、そのままおうまをすすめて、りょう場へお出かけになりました。
 皇子のおつきの者は、皇子に向かって、
「ただ今|忍歯王《おしはのみこ》がおいでになりまして、これこれとおっしゃいました。なんだかおっしゃることが変ではございませんか。けっしてごゆだんをなさいますな。お身|固《かた》めも十分になすってお出かけなさいますように」と悪く疑《うたが》ってこう申しあげました。それで皇子も、わざわざお召物《めしもの》の下へよろいをお着こみになりました。そして弓矢《ゆみや》を取っておうまを召《め》すなり、大急ぎで王《みこ》のあとを追ってお出かけになりました。
 皇子はまもなく王に追いついて、お二人でうまを並《なら》べてお進みになりました。そのうちに皇子はすきまをねらって、さっと矢をおつがえになり、罪もない忍歯王《おしはのみこ》を、だしぬけに射《い》落
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