じ》は、まだ童髪《どうはつ》をおゆいになっている一少年でおいでになりましたが、目弱王《まよわのみこ》が天皇をお殺し申したとお聞きになりますと、それはそれはお憤《いきどお》りになって、すぐにお兄上の黒日子王《くろひこのみこ》のところへかけつけておいでになり、
「おあにいさま、たいへんです。天皇をお殺し申したやつがいます。どういたしましょう」とご相談をなさいました。すると、黒日子王《くろひこのみこ》は天皇のご同腹《どうふく》のおあにいさまでおありになりながら、てんで、びっくりなさらないで平気にかまえていらっしゃいました。大長谷皇子《おおはつせのおうじ》はそれをご覧《らん》になりますと、くわッとお怒《いか》りになり、
「あなたはなんという頼《たの》もしげもない人でしょう。われわれの天皇がお殺されになったのじゃありませんか。そして、それは、またあなたのおあにいさまじゃありませんか。それを平気で聞いているとは何ごとです」とおっしゃりながら、いきなりえりもとをひッつかんでひきずり出し、刀を抜くなり、一打《ひとう》ちに打ち殺しておしまいになりました。
 皇子《おうじ》はそれからまたつぎのおあにいさま
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