しゃいました。
「さあ、みんなもわしのとおり進んで来い。ひょうの雨は今にやむ。そのひょうのやむように、すべてを片づけてしまうのだ。さあ来い来い」という意味をお歌いになって、味方の兵をお招きになりました。
すると大前《おおまえ》、小前《こまえ》の宿禰《すくね》は、手をあげひざをたたいて、歌い踊《おど》りながら出て来ました。
「何をそんなにお騒《さわ》ぎになる。宮人《みやびと》のはかまのすそのひもについた小さな鈴《すず》、たとえばその鈴が落ちたほどの小さなことに、宮人も村の人も、そんなに騒ぐにはおよびますまい」
こういう意味の歌を歌いながら穴穂王《あなほのみこ》のご前《ぜん》に出て来て、
「もしあなたさま、軽皇子《かるのおうじ》さまならわざわざお攻めになりますには及びません。ご同腹《どうふく》のお兄上をお攻めになっては人が笑《わら》います。皇子さまは私がめしとってさし出します」と申しあげました。
それで穴穂王《あなほのみこ》は囲みを解《と》いて、ひきあげて待っておいでになりますと、二人の宿禰《すくね》は、ちゃんと軽皇子《かるのおうじ》をおひきたて申してまいりました。
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