っと中津王《なかつのみこ》と腹《はら》を合わせているのであろう。目どおりは許されない」とおおせになりました。王《みこ》は、
「いえいえ私はそんなまちがった心は持っておりません。けっして中津王《なかつのみこ》なぞと同腹《どうふく》ではございません」とお言いになりました。天皇は、
「それならば、これから難波《なにわ》へかえって、中津王《なかつのみこ》を討《う》ちとってまいれ。その上で対面しよう」とおっしゃいました。

       二

 水歯別王《みずはわけのみこ》は、大急ぎでこちらへおかえりになりました。そして中津王《なかつのみこ》のおそばに仕えている、曾婆加里《そばかり》というつわものをお召《め》しになって、
「もしそちがわしの言うことを聞いてくれるなら、わしはまもなく天皇になって、そちを大臣にひきあげてやる。どうだ、そうして二人で天下を治めようではないか」とじょうずにおだましかけになりました。すると曾婆加里《そばかり》は大喜びで、
「あなたのおおせなら、どんなことでもいたします」
 と申しあげました。皇子《おうじ》はその曾婆加里《そばかり》にさまざまのお品物をおくだしになったうえ、
前へ 次へ
全242ページ中196ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
鈴木 三重吉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング