「それでは、そちが仕えているあの中津王《なかつのみこ》を殺してまいれ」とお言いつけになりました。曾婆加里《そばかり》は、
「かしこまりました」と、ぞうさもなくおひき受けして飛んでかえり、王《みこ》がかわやにおはいりになろうとするところを待ち受けて、一刺《ひとさ》しに刺《さ》し殺してしまいました。
水歯別王《みずはわけのみこ》は、曾婆加里《そばかり》とごいっしょに、すぐに大和《やまと》へ向かってお立ちになりました。その途中、例の大坂《おおさか》の山の下までおいでになったとき、命《みこと》はつくづくお考えになりました。
「この曾婆加里《そばかり》めは、私《わし》のためには大きな手柄《てがら》を立てたやつではあるが、かれ一人からいえば、主人を殺した大悪人である。こんなやつをこのままおくと、さきざきどんな怖《おそ》ろしいことをしだすかわからない。今のうちに手早くかたづけてしまってやろう。しかし、手柄《てがら》だけはどこまでも賞《ほ》めておいてやらないと、これから後、人が私《わし》を信じてくれなくなる」
こうお思いになって急にその手だてをお考えさだめになりました。それで曾婆加里《そばかり》
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