まして、そこから、はるかに難波《なにわ》の方をふりかえってご覧《らん》になりますと、お宮の火はまだ炎々《えんえん》とまっかに燃え立っておりました。天皇は、
「ああ、あんなに多くの家が燃えている。わが妃《きさき》のいるお宮も、あの中に焼けているのか」という意味をお歌いになりました。
それから同じ河内《かわち》の大坂《おおさか》という山の下へおつきになりますと、向こうから一人の女が通りかかりました。その女に道をおたずねになりますと、女は、
「この山の上には、戦道具《いくさどうぐ》を持った人たちがおおぜいで道をふさいでおります。大和《やまと》の方へおいでになりますのなら、当麻道《たじまじ》からおまわりになりましたほうがよろしゅうございましょう」と申しあげました。
天皇はその女の言うとおりになすって、ご無事に大和《やまと》へおはいりになり、石上《いそのかみ》の神宮《じんぐう》へお着きになって、仮にそこへおとどまりになりました。
すると二ばんめの弟さまの水歯別王《みずはわけのみこ》が、その神宮へおうかがいになって、天皇におめみえをしようとなさいました。天皇はおそばの者をもって、
「そちもき
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