そくそれをはぎ取って、自分の家内《かない》に持ってかえってやりました。
 そのうちに宮中にあるご宴会《えんかい》があって、臣下の者の妻女たちが、おおぜいお召《め》しにあずかりました。すると大楯連《おおだてのむらじ》の妻は、女鳥王《めとりのみこ》のお腕飾りを得意《とくい》らしく手首に飾《かざ》ってまいりました。皇后はそれらの女たちへ、お手ずから、お酒を盛《も》るかしわの葉をおくだしになりました。みんなはかわるがわる御前《ごぜん》へ出て、それをいただいてさがりました。
 皇后はそのときに、ふと、連《むらじ》の妻の腕飾りにお目がとまりました。するとそれはかねてお見覚《みおぼ》えのある女鳥王《めとりのみこ》のお持物《もちもの》でしたので皇后はにわかにお顔色をお変えになり、この女にばかりはかしわの葉をおくだしにならないで、そのまますぐにご宴席《えんせき》から追い出しておしまいになりました。そしてさっそく夫の連《むらじ》をお呼《よ》びつけになって、
「そちは人の腕飾りをぬすんで来て家内にやったろう。あの速総別《はやぶさわけ》と女鳥《めとり》の二人は、天皇に対して怖《おそ》ろしい大罪を犯そうとしたの
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