まと》の方へおまわりになりました。
そのときにも皇后は、
「私《わたし》はとうとう山城川《やましろがわ》をのぼり、奈良《なら》や小楯《おだて》をも通りすぎて、こんなにあちこちさまよってはいるけれど、それもどこをひとつ見たいのでもない。見たいのは高津《たかつ》のお宮よりほかにはなんにもない」という意味をお歌いになりました。
それからまた山城《やましろ》へひきかえして、筒木《つつき》というところへおいでになり、そこに住まっている朝鮮《ちょうせん》の帰化人《きかじん》の奴里能美《ぬりのみ》という者のおうちへおとどまりになりました。
天皇はすべてのことをお聞きになりますと、鳥山《とりやま》という舎人《とねり》に向かって、
「おまえ早く行って会ってこい」という意味をお歌でおっしゃって、皇后のところへおつかわしになりました。そのつぎには、丸邇臣口子《わにのおみくちこ》という者をお召《め》しになって、
「皇后はあんなにいつまでもすねて、お宮へもかえって来ないけれど、しかし心の中ではわしのことを思っているに相違《そうい》ない。二人の間であるものを、そんなに意地《いじ》を張らないでもよいであろうに
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