女にお出会いになりました。
 天皇は、
「そちはだれの娘《むすめ》か」とおたずねになりました。
「私は比布礼能意富美《ひふれのおおみ》と申します者の子で、宮主矢河枝媛《みやぬしやかわえひめ》と申します者でございます」と、その娘はお答え申しました。
 すると、天皇は
「ではあす帰りにそちのうちへ行くぞ」とおっしゃいました。
 媛《ひめ》はおうちへ帰って、すべてのことをくわしくおとうさまに話しました。
 おとうさまの意富美《おおみ》は、
「それではそのお方は天子さまだ。これはこれはもったいない。そちも十分気をつけて失礼のないようによくおもてなし申しあげよ」と言いきかせました。そしてさっそくうちじゅうを、すみずみまですっかり飾《かざ》りつけて、ちゃんとお待ち申しておりました。

 天皇はおおせのとおり、あくる日お立ちよりになりました。意富美《おおみ》らは怖《おそ》れかしこみながら、ごちそうを運んでおもてなしをしました。
 天皇は矢河枝媛《やかわえひめ》が奉《たてまつ》るさかずきをお取りになって、

  この料理のかには、
  越前《えちぜん》敦賀《つるが》のかにが、
  横ざまにはって、
 
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