赤い玉

       一

 神功皇后《じんぐうこうごう》のお母方《ははかた》のご先祖については、こういうお話が伝わっています。
 それは、この時分からも、もっともっと昔《むかし》、新羅《しらぎ》の国の阿具沼《あぐぬま》という沼《ぬま》のほとりで、ある日一人の女が昼寝《ひるね》をしておりました。すると、ふしぎなことには、日の光がにじのようになって、さっと、その女のお腹《なか》へ射《さ》しました。
 それをちょうど通りかかった一人の農夫が見て、へんなこともあるものだと思いながら、それからは、いつもその女のそぶりに目をつけていますと、女はまもなくお腹が大きくなって、一つの赤い玉を生み落としました。農夫はその玉を女からもらって、物につつんで、いつも腰《こし》につけていました。
 この農夫は谷間《たにま》に田を作っておりました。ある日農夫は、その田で働いている人たちのたべ物を、うしに負わせて運んで行きますと、その谷間で、天日矛《あめのひほこ》という、この国の王子に出会いました。
 王子は農夫がへんなところへうしを引いて行くのを見て、
「これこれ、そちはどうしてそのうしへたべ物などを乗せ
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