とをしに、近江《おうみ》や若狹《わかさ》をまわって、越前《えちぜん》の鹿角《つぬが》というところに仮のお宮を作り、しばらくの間そこに滞在《たいざい》しておりました。
するとその土地に祀《まつ》られておいでになる伊奢沙和気大神《いささわけのおおかみ》という神さまが、あるばん宿禰《すくね》の夢に現われていらしって、
「わしの名を、お小さい天皇のお名と取りかえてくれぬか」とおっしゃいました。
宿禰《すくね》は、
「それはもったいないおおせでございます。どうもありがとう存じます」とお答え申しました。大神《おおかみ》は、「それでは、明日《あす》お供をして海ばたへ来るがよい。名を取りかえてくださったお礼を上げようから」とおっしゃいました。
それであくる朝早く、天皇をおつれ申して海岸へ出て見ますと、みんな鼻の先に傷《きず》をうけた、それはそれはたいそうな海豚《いるか》が、浜じゅうへいっぱいうち上げられておりました。
宿禰《すくね》はさっそくお社《やしろ》へお使いをたてて、
「食べ料のお魚《さかな》をどっさりありがとう存じます」とお礼を申しあげました。
天皇はそれから大和《やまと》へおかえり
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