までにげのびて、そこでいったん踏《ふ》み止《とど》まって戦いましたが、また攻めくずされて、ちりぢりににげて行きました。
 建振熊命《たけふるくまのみこと》は、とうとうそれを同じ近江《おうみ》の篠波《ささなみ》というところで追いつめて、敵の兵たいという兵たいを一人ものこさず斬《き》り殺してしまいました。
 そのとき忍熊王《おしくまのみこ》と伊佐比宿禰《いさひのすくね》とは、危《あやう》く船に飛び乗って、湖水の中へにげ出しました。
 しかしぐずぐずしていると今につかまってしまうのが目に見えていましたので、皇子《おうじ》は宿禰《すくね》に向かって、

  さあ、おまえ、
  振熊《ふるくま》に殺されるよりも、
  鳰鳥《かいつぶり》のように、
  この湖水にもぐってしまおうよ。

とお歌いになり、二人でざんぶと飛び込《こ》んで、それなり溺《おぼ》れ死にに死んでおしまいになりました。

       四

 皇后はそれでいよいよめでたく大和《やまと》へおかえりになりました。
 しかし武内宿禰《たけのうちのすくね》だけは、お小さな天皇をおつれ申して、穢《けが》れ払《はら》いの禊《みそぎ》というこ
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