ちにおいていらしった宝剣《ほうけん》も、とうとう再《ふたた》び手にとることもできないかとお歌いになり、そのお歌の終わるのとともに、この世をお去りになりました。
 早うまのお使いは、このことを天皇に申しあげにかけつけました。
 大和《やまと》からは、命のお妃《きさき》やお子さまたちが、びっくりしてくだっておいでになりました。そして、命のご陵《りょう》をお作りになって、そのぐるりの田の中に伏《ふ》しまろんで、おんおんおんおんと泣いていらっしゃいました。
 するとおなくなりになった命は、大きな白い鳥になって、お墓の中からお出ましになり、空へ高くかけのぼって、浜辺《はまべ》の方へ向かって飛んでおいでになりました。
 お妃《きさき》やお子さまたちは、それをご覧《らん》になると、すぐに泣き泣きそのあとを追いしたって、ささの切り株《かぶ》にお足を傷つけて血だらけにおなりになっても、痛《いた》さを忘《わす》れて、いっしょうけんめいにかけておいでになりました。
 そしてしまいには、海の中にまではいって、ざぶざぶと追っかけていらっしゃいました。
 白い鳥はその人々をあとにおいて、海の中のいそからいそにと伝
前へ 次へ
全242ページ中140ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
鈴木 三重吉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング