っていたのに、今はもう歩くこともできなくなった。足はちょうど船のかじのように曲がってしまった」とおっしゃって、お嘆《なげ》きになりました。そしてそのまままた少しお歩きになりましたが、まもなくひどく疲《つか》れておしまいになったので、とうとうつえにすがって一足《ひとあし》一足《ひとあし》お進みになりました。
 そんなにして、やっと伊勢《いせ》の尾津《おつ》の崎《さき》という海ばたの、一本まつのところまでおかえりになりますと、この前お行きがけのときに、そのまつの下でお食事をお取りになって、つい置《お》き忘《わす》れていらしった太刀《たち》が、そのままなくならないで、ちゃんと残っておりました。
 命《みこと》は、
「おお一つまつよ、よくわしのこの太刀《たち》の番をしていてくれた。おまえが人間であったら、ほうびに太刀をさげてやり、着物を着せてやるのだけれど」と、こういう意味の歌を歌ってお喜びになりました。それからなおお歩きになって、ある村までいらっしゃいました。
 命は、そのとき、
「わしの足はこんなに三重《みえ》に曲がってしまった。どうもひどく疲《つか》れて歩けない」とおっしゃいました。しか
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