命はそれから尾張《おわり》へおはいりになって、そこの国造《くにのみやつこ》の娘《むすめ》の美夜受媛《みやずひめ》のおうちにおとまりになりました。そして、かえりにはまた必《かなら》ず立ち寄《よ》るからとお言いのこしになって、さらに東の国へお進みになり、山や川に住んでいる、荒《あら》くれ神や、そのほか天皇にお仕えしない悪者どもをいちいちお説《と》き従えになりました。そしてまもなく相模《さがみ》の国へお着きになりました。
するとそこの国造《くにのみやつこ》が、命をお殺し申そうとたくらんで、
「あすこの野中に大きな沼《ぬま》がございます。その沼の中に住んでおります神が、まことに乱暴《らんぼう》なやつで、みんな困《こま》っております」と、おだまし申しました。
命はそれをまにお受けになって、その野原の中へはいっておいでになりますと、国造《くにのみやつこ》は、ふいにその野へ火をつけて、どんどん四方から焼きたてました。
命ははじめて、あいつにだまされたかとお気づきになりました。その間《ま》にも火はどんどんま近に迫《せま》って来て、お身が危《あやう》くなりました。
命はおんおば上のおおせを思い
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