とおりに、お婿さんの着物のすそへあさ糸をつけた針をつきさしておきました。
あくる朝になって見ますと、針についているあさ糸は、戸のかぎ穴《あな》から外へ伝わっていました。そして糸のたまは、すっかり繰りほどけて、おへやの中には、わずか三まわり輪《わ》に巻けた長さしか残っておりませんでした。
それで、ともかくお婿さんは、戸のかぎ穴から出はいりしていたことがわかりました。媛はその糸の伝わっている方へずんずん行って見ますと、糸はしまいに、三輪山《みわやま》のお社《やしろ》にはいって止まっていました。それで、はじめて、お婿さんは大物主神《おおものぬしのかみ》でいらしったことがわかりました。
大多根子《おおたねこ》はこのお二人の間に生まれた子の四代目の孫でした。
天皇は、さっそくこの大多根子を三輪の社の神主《かんぬし》にして、大物主神のお祭りをおさせになりました。それといっしょに、お供えものを入れるかわらけをどっさり作らせて、大空の神々や下界の多くの神々をおまつりになりました。その中のある神さまには、とくに赤色の盾《たて》や黒塗《くろぬり》の盾をおあげになりました。
そのほか、山の神さまや
前へ
次へ
全242ページ中102ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
鈴木 三重吉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング