子は、金の窓のことを女の子に話しました。女の子は、
「ええ、私もまいにち見ていますわ。でも、それは、あっちの方にあるんですよ。あなたはあべこべの方へ来たんですわ。」といいました。
「いらっしゃい。こっちへ来ると見えるのよ。」と、女の子はお家のそばの、すこしたかいところへ男の子をつれていきました。そして、金の窓は見えるときがきまっているのだといいました。男の子は、ああきまっている、お日さまがはいるときに見えるのだと答えました。
二人は小だかいところへ上りました。女の子は、
「ああ、今ちょうど見えます。ほら、ごらんなさい。」といいながら、向うの岡の方をゆびさしました。
「ああ、あんなところにもある。」と男の子はびっくりして見入りました。しかし、よく見ると、それは岡の上のじぶんの家でした。男の子はびっくりして、私はもうお家へかえるといい出しました。そして、もう一年もだいじにポケットにしまっていた、赤いすじが一すじはいった、白い、きれいな小さな石を、女の子にやりました。それから、とちの実を三つ、びろうどのようなつやのある、赤いのと、ぽちぽちのついたのと、牛乳のような白い色をしたのと、その三つ
前へ
次へ
全7ページ中5ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
鈴木 三重吉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング