な百姓ですもの。金などが窓についているはずはありません。金よりもガラスの方があかるくていいんですよ。」
 こう言って笑いながら、男の子を戸口の石だんにこしをかけさせて、お牛乳《ちち》を一ぱいと、パンを一きれもって来てくれました。おばさんは、それから、男の子とちょうどおない年ぐらいの女の子をよび出しました。そして、二人でおあそびなさいというように、うなずいて見せて、ふたたびお家へはいって仕事をしました。
 その小さな女の子も、じぶんとおなじように、はだしのままで、黒っ茶けた木綿《もめん》の上着《うわぎ》を着ていました。しかし、その髪の毛は、ちょうど、男の子がいつも見ている光った窓のように、きれいな金色をしていました。それから目は、ま昼の空のようにまっ青にすんでいました。
 女の子は、にこにこしながら、男の子をさそって、お家の牛を見せてくれました。それは、ひたいに白い星のある、黒い小牛でした。男の子はじぶんのお家の、四《よ》つ足の白い、栗の皮のような赤い色の牛のことを話しました。女の子は、そこいらになっているりんごを一つもいで、二人で食べました。二人はすっかりなかよしになりました。
 男の
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