をやりました。そして、またこんどくるからといって、おおいそぎで走ってかえりました。女の子は、男の子があわててかけてかえるのを、びっくりして見おくっていました。きらきらした夕日の中に、いつまでも立って見ていました。
男の子は、息をもやすめないで、どんどん走ってかえりました。しかし道がずいぶんとおいのでお家へついたときには、もうすっかり暗くなっていました。
じぶんのお家の窓からは、ランプのあかりと、ろ[#「ろ」に傍点]のたき火とが、黄色く赤く見えていました。ちょうど、さっき岡の上から見たときとおなじように、きれいにかがやいていました。男の子は、戸をあけてはいりました。お母さんは立って来て、頬《ほお》ずりをしてむかえました。小さな妹も、よちよちかけて来ました。お父さんはろ[#「ろ」に傍点]のそばにすわったまま、にこにこしていました。お母さんは、
「どこへいって来たの? おもしろかった?」と聞きました。
「ええ、ずいぶんゆかいでしたよ。」と男の子は、うれしそうにいいました。
「何かいいことをおぼえて来たかい?」とお父さんが聞きました。
「私は、じぶんたちのこのお家にも、金の窓がついていると
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