ないものですから、馬のいうことを聞かないで、とうとう飛び下りてひろいました。すると、その一本だけでなく、ついでに前のもみんなひろっていきたくなりました。ウイリイはわざわざ後《あと》もどりをして、三本ともすっかりひろいました。
 その羽根はほんとうに不思議な羽根でした。一本々々見ると、みんな同じように金色に光っているのですが、三本一しょにならべると、女の顔を画《か》いた一まいの画《え》になるのでした。それこそ、この世界|中《じゅう》で一ばん美しい女ではないかと思われるような、何ともいえない、きれいな女の画姿《えすがた》です。ウイリイはびっくりして、その顔を見つめました。
 ウイリイはやっと、その羽根をポケットにしまって、また馬を走らせました。そしてどこまでもどんどんかけていきますと、しまいに或《ある》大きなお城の前へ来ました。馬は、
「これが王さまのお城です。ここへはいって家来《けらい》にしておもらいなさい。」と言いました。ウイリイは、すぐに、王さまのうまや[#「うまや」に傍点]の頭《かしら》のところへいって、
「どうか私を使って下さいませんか。」とたのみました。
「ただ私の馬のかいば[
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