黄金鳥
鈴木三重吉

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)百姓《ひゃくしょう》

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)世界|中《じゅう》で

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)あぶみ[#「あぶみ」に傍点]

/\:二倍の踊り字(「く」を縱に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)いけません/\
−−

       一

 貧乏な百姓《ひゃくしょう》の夫婦がいました。二人は子どもがたくさんあって、苦しいところへ、また一人、男の子が生れました。
 けれども、そんなふうに家《うち》がひどく貧乏だものですから、人がいやがって、だれもその子の名附親《なつけおや》になってくれるものがありませんでした。
 夫婦はどうしたらいいかと、こまっていました。すると、或《ある》朝、一人のよぼよぼの乞食《こじき》のじいさんが、ものをもらいに来ました。夫婦は、かわいそうだと思って、じぶんたちの食べるものを分けてやりました。
 乞食のじいさんは、二人が、へんにしおしおしているのを見て、どうしたわけかと聞きました。二人は、生れた子どもの名附親になって
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