#「かいば」に傍点]さえいただきませば、給料なぞは下《くだ》さらなくともたくさんです。」と言いました。そして馬丁《ばてい》にやとってもらいました。
ウイリイはうまや頭《がしら》からおそわって、ていねいに王さまのお馬の世話をしました。じぶんの馬も大事にしました。そして、しばらくの間なにごともなく、暮していました。
ウイリイは厩《うまや》のそばに、部屋をもらっていました。夕方仕事がすみますと、ウイリイはその部屋へかえって、いつも窓をぴっしりしめて、例の三本の羽根をとり出しました。羽根は、お日さまのように、きらきら光るので、部屋の中が昼のように明るくなりました。
ウイリイは、その部屋の中の美しい女の人の顔を、毎晩紙へ画《か》き取りました。しかしなかなか思うように上手《じょうず》にかけなくて、たんびにいく枚も/\かき直しました。
一たい厩の建物では、夜もけっして灯《あかり》をつけないように、きびしくさし止めてありました。それで、ウイリイはいつでも窓をかたくしめておくのでしたが、それでもしまいには、だれかが、そこに灯がついているのを見つけて、厩頭《うまやがしら》の役人に言いつけました。
前へ
次へ
全30ページ中8ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
鈴木 三重吉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング