来たのだから、きくかきかないか、お前がためして見るのがあたり前だとお言いになりました。王女はすぐに死の水のびん[#「びん」に傍点]を取って、ウイリイの体へふりかけました。ウイリイは、たちまち死んでしまいました。王女は、つぎに命の水をその死骸《しがい》へふりかけました。そうするとウイリイはすぐに生きかえって、今までのウイリイとはちがって、まぶしいほど美しい男になって起き上りました。王さまはそれをごらんになって、じぶんもそういうふうに若く美しくなりたいとお思いになり、
「では、わしも一度死んで生きかえりたい。」とお言いになりました。
 王女は仰《おお》せを聞いて、さっそく、死の水を王さまにふりかけて、それから、命の水をかけて生きかえらせてお上げしました。王さまはよくばって、その上もっと美しくなりたいとお思いになり、もう一度死なしてくれとお言いになりました。
 王女はまた死の水をふりかけました。ところが今度命の水をかけようと思いますと、もう水が一《ひ》としずくもありませんでした。
「おやおや、これではもうどうすることも出来ません。」と王女は言いました。王さまは、とうとうそれなり、ほんとうの死
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