骸になっておしまいになりました。
 そうなると、だれかあとをつぐ人がいりました。王女は、
「それは、ウイリイさんよりほかにはだれもありません。私を鳥からもとの人間にして、あんな遠い遠いところからつれてかえったり、あんな大きなお城をここまで持って来たり、命の水や死の水を取って来たりするようなことが、ほかのだれに出来ましょう。こんなえらい人が王さまにおなりなるのに何《なん》のふしぎもありません。」と言いました。ほかの人たちは、王女が手に持っているびん[#「びん」に傍点]の中に、まだ死の水が残っているので、それにおそれて、だれ一人王女にさからうものもありませんでした。ですから、ウイリイはとうとう王さまになりました。世界中で一ばん美しい王女は、よろこんでウイリイの王妃になりました。
 その御婚礼の日に、ウイリイは、小さな灰色の馬のところへ行って、みんなお前のお蔭《かげ》だと言ってよろこびました。馬は、
「それでは今度は私のおねがいを聞いて下さい。どうか剣をぬいて、私の首を切って、それをしっぽ[#「しっぽ」に傍点]のそばにおいて、三べんお祈りをして下さい。」とたのみました。ウイリイはびっくりして
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