王さまは王女をごらんになって、大へんにおよろこびになりました。王女は年も美しさも、そっくりもとのままでした。
 王さまはすぐに王女と御婚礼をしようとなさいました。ところが王女は、自分のお城を王さまの御殿のそばへ持って来てもらわなければいやだと言い張りました。王さまはウイリイをお呼びになって、
「お前はなぜ、ついでにお城を持ってかえらなかったのか。これから行ってすぐに持って来い。それでないとお前の命を取ってしまうぞ。」
 こう言ってお怒《おこ》りになりました。ウイリイは困ってしまって、うまやへ帰って自分の小さな馬に言いました。
「あの大きなお城がどうしてここまで持って来られよう。私はもういっそ殺してもらった方がましだと思う。それに、あんな年取った王さまが、あの若い美しい王女をお嫁にしようとなさるのだから、王女がおいたわしくてたまらない。殺されてしまえばそういうことも見ないですむから、ちょうど幸《さいわい》だ。」
 こう言って、しょんぼりしていました。馬はそれを聞いて、
「これはあなたがあの二番目の羽根を拾ったばち[#「ばち」に傍点]です。しかし今度も私がよくして上げましょう。これから
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