一ばんしまいのお皿だけしか食べませんでした。
王女は、しまいにまた昨日のように、寝室の寝台のどれかへおやすみなさいとすすめましたが、ウイリイは、やはりそれをことわって、犬と一しょに門のそばへ寝ました。
そのあくる朝、ウイリイは、
「今日《きょう》はどうか一しょに立って下さいまし。」と王女に言いました。王女は、
「では、その前にこのわら[#「わら」に傍点]の中から私をさがし出してごらんなさい。」と言って、一たばのわらの中へ体をかくしてしまいました。ウイリイはその中からほかのよりも少し軽いわらしび[#「わらしび」に傍点]をより出してまたナイフで切るまねをしました。王女はびっくりして姿を現わして、
「そのわらを切られると私の命がなくなるのですから。」と言ってあやまり、
「それでは、もういきましょう。」と言いました。
王女は部屋々々の戸へ一つ一《びと》つ鍵《かぎ》をかけて廻《まわ》りました。それから一ばんしまいに、入口の門へも錠前《じょうまえ》を下《おろ》しました。そして、それだけの鍵をみんな持って、ウイリイと一しょにお城を立ちました。
二人は長い長い道を歩いて、やっと海ばたへ着きまし
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