ました。それにはずいぶん沢山の日数《ひかず》がかかりました。
ウイリイは馬のところへ行って、船が出来たと知らせました。そうすると馬は、
「それでは王さまにお願いして、肉とパンとうじ[#「うじ」に傍点]虫を百|樽《たる》ずつ用意しておもらいなさい。そのほかにその樽を二つずつはこぶ車が百だい、その車を引っぱる革綱《かわづな》も二百本いります。それから水夫を二百人集めておもらいなさい。」と言いました。
ウイリイはそれをすっかりととのえてもらって、船へつみこみました。二百人の水夫も乗りこみました。馬は、
「もうこれでいいから、しまいに大麦を一俵|私《わたし》に下さい。そしてこの手綱《たづな》をゆるめておいて、すぐに船へお乗りなさい。」と言いました。
ウイリイは馬のいうとおりにして、船へ乗りました。そして今にも岸をはなれようとしていますと、馬は、ふいに白いむく[#「むく」に傍点]犬になって、いきなり船へ飛び乗り、ウイリイの足もとへしゃがみました。ウイリイはこれから長い間、海や岡をいくのにちょうどいい友だちが出来たと思って喜びました。
船は追手《おいて》の風で浪《なみ》の上をすらすらと走っ
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