》がわからなくなりました。王さまは方々《ほうぼう》へ人を出してさんざんお探しになりましたが、とうとうしまいまで見附《みつか》りませんでした。王さまはその王女でなくてはどうしてもおいやなので、それなり今日《きょう》までだれもおもらいにならないのでした。
ところが、今ウイリイの羽根を見てびっくりなすったのもそのはずです。羽根の中の画顔《えがお》は王さまが今まで一日もお忘れになることが出来なかった、あの王女の顔でした。
王さまはそのことをウイリイにお話しになりました。そして、
「お前はこの画顔を持っているのだから、王女のいどころを知っているにちがいない。これからすぐに行ってつれて来い。」とお言い附けになりました。
ウイリイは、この羽根はただ森の中に落ちていたのを拾ったのですから、そういう王女がどこにお出《い》でだか、私は全《まる》でしらないのですと、ありのままを申し上げました。けれども王さまはお聞き入れにならないで、ぜひともつれて来い、それが出来ないなら、この場でお前を斬《き》ってしまうとお言いになりました。
ウイリイは、殺されるのがこわいものですから、仕方なしに、それでは探しにまい
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