」に傍点]は、とくに長いくちばしをもつてゐます。すべて蚊は人間の血をすふのはめすだけで、をすは人間にとまつても血はすひません。
マラリアの病原菌は或《ある》小さな微生物にとりついて、それを寄生主にして生きてゐるもので、その寄生主がハマダラ蚊のからだの中に住んでゐるといふことを、ロッス少佐が根気づよい顕微鏡検査で見つけ出したのです。そのマラリア蚊が人間の血をすふときに、病菌がくちばしからつたはつて人間の血管の中にはいつてどん/\繁殖し、俗におこり[#「おこり」に傍点]といふ、一定の時間をおいては、ひどい熱の出る苦しい病気を出させるのです。ロッス少佐のその発見については、永い苦心談もあるのですが、それはわづらはしいのでひかへます。
ところが、ふしぎなことに、たま/\この発見が報告されたぢきあとで、米西《べいせい》戦争でキュバ島に出征中のアメリカの軍医のリードといふ人が、黄色熱について、それがやはりステゴミイアといふ一種の蚊からつたはることを発見しました。その病菌が、どんな生物に寄生して蚊のからだの中にはいるのか、それは、今もつてわからないのですが、ともかくステゴミイアをさへ避けまたは殺
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