んは、とき/″\「おぎァ/\」と泣きました。それから、「おふんにやい/\」と言ふやうにも泣きました。
 ぽつぽは、はじめてすゞちやんの泣き声を聞くと、
「あれはだれでせう。ぽッぽゥ、ぽッぽゥ。」と、しきりにお父さまに聞きました。お父さまは、
「あれはすゞちやんだよ。こんど生れた赤ちやんだよ。」と言ひました。すると、ぽつぽは、よろこんで、
「おやさうですか。」と、ぱた/\おほさわぎをしました。そして、
「早く見せて下さい。早く/\。」と二人でねだりました。
 しかし、すゞちやんは、まだたうぶんは、そつとねかせておかなければならないので、ぽつぽのところへつれていくわけにはいきませんでした。
 ぽつぽは、まいにち/\、
「どうぞすゞちやんを見せて下さい。早く見せて下さい。」と言つて、かはる/″\ねだりました。それで或《ある》日お父さまは、すゞ子をそつと、おふとんにくるんで、ぽつぽのかごのまへにつれていきました。そして、
「すゞちやん/\、ごらんなさい。これがおまいのぽつぽだよ。」と言ひました。ぽつぽは、
「すゞ子ちやん/\こんちは。」
「すゞ子ちやん私《あたし》もこんちは。」と、それは/\お
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