ぽつぽのお手帳
鈴木三重吉
−−
【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)「黒《くろ》」よりも
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)あき子|叔母《をば》ちやん
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)すゞ子のぽつぽ[#「ぽつぽ」に傍点]は、
/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)小さな/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
−−
一
すゞ子のぽつぽ[#「ぽつぽ」に傍点]は、二人とも小さな/\赤いお手帳をもつてゐます。この二人は、「黒《くろ》」よりもにやァ/\よりも、「君《きみ》」よりも、だれよりも一ばん早くから、すゞ子のおあひてをしてゐるのです。
一ばんはじめ、或《ある》冬の、氷のはつてゐる寒い日に、二だいの大きな荷馬車がお荷物をつんで、ぽつぽたちのながく住んでゐた村から、町の方へ、こと/\出ていきました。ぽつぽは、あのまゝかごにはいつて、その二ばんめの荷馬車の、一ばんうしろに乗せられてゐました。二人は、一たいどこへいくのだらうと言ふやうに、しきりにきよと/\くびをうごかして
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