長いすの上に横になって、目をつぶってしまいました。
四
王子はそれでもけっしてゆだんをしないで、じっと王女のようすを見ていました。すると王女は間《ま》もなく、すやすやと寝入ってしまいました。
王子はその長いすのそばのテイブルのところへいって、ひじをついて、手のひらでおとがいをささえながら、目《ま》ばたきもしないで、王女の顔を見つめていました。
ところがそのうちに、王子はだんだんと、ひとりでにまぶたがおもくなって、いつの間にかこくりこくりといねむりをはじめました。ぶくぶくや長々や、火の目小僧は、さっきから一生けんめいに耳をすましていました。
ところがちょうど王子が眠りかけるころになると、この三人も、同じように眠けがさして、とうとうこくりこくりと寝てしまいました。
王女は王子がぐっすりねいったのをかんづくと、にっこり笑って、おき上りました。じつはさっきから、上手《じょうず》に寝たふりをして、王子が寝入るのをねらっていたのでした。
そしておき上るといきなり、ひょいと小さな鳩《はと》になって窓からとび出しました。王女はこういうじゆうじざいな魔法の力をもっているので
前へ
次へ
全26ページ中10ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
鈴木 三重吉 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング