長いすの上に横になって、目をつぶってしまいました。

       四

 王子はそれでもけっしてゆだんをしないで、じっと王女のようすを見ていました。すると王女は間《ま》もなく、すやすやと寝入ってしまいました。
 王子はその長いすのそばのテイブルのところへいって、ひじをついて、手のひらでおとがいをささえながら、目《ま》ばたきもしないで、王女の顔を見つめていました。
 ところがそのうちに、王子はだんだんと、ひとりでにまぶたがおもくなって、いつの間にかこくりこくりといねむりをはじめました。ぶくぶくや長々や、火の目小僧は、さっきから一生けんめいに耳をすましていました。
 ところがちょうど王子が眠りかけるころになると、この三人も、同じように眠けがさして、とうとうこくりこくりと寝てしまいました。
 王女は王子がぐっすりねいったのをかんづくと、にっこり笑って、おき上りました。じつはさっきから、上手《じょうず》に寝たふりをして、王子が寝入るのをねらっていたのでした。
 そしておき上るといきなり、ひょいと小さな鳩《はと》になって窓からとび出しました。王女はこういうじゆうじざいな魔法の力をもっているので
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