舌をつかって、
「あの子はだれにもやることは出来ない。」
と、おおおこりにおこってこうおっしゃいました。
しかし王子は、そんなうそつきの王さまには相手にならないで、三人の家来に言いふくめて、王さまのすきまをねらって、王女を引っかかえさせて、おおいそぎで御殿を出てしまいました。
七
王さまは、ふと見ると王女がいつの間《ま》にかいなくなっているものですから、
「おや、たいへんだ。あの四人のものが、さらっていったにちがいない。追っかけてうばいかえして来い。さあ早く早く。」とまっ赤になって御命令になりました。すると王さまの兵たいは、
「そらいけ。」と言うが早いか、何千人という大人数《だいにんずう》が、一どに馬にとびのって、大風《おおかぜ》のように、びゅうびゅうかけだしました。
王子たちは王女の手を引いて、遠くまでにげて来ました。するとやがて後《うしろ》の方で、ぽか/\/\と大そうなひづめの音が聞え出しました。王子は走りながら、
「おいおい、何だろう。」と三人の家来に言いました。
「おや、兵たいのようですよ。ああ、兵たいだ/\。馬に乗った兵たいが大風のようにとんで来ます。
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