めさせて、どぶんと泉の中へ入りました。そして、いきなり、ぷうぷうとからだをふくらして、とうとう泉一ぱいにふくらんでしまいました。
ですから、水はどんどんあふれ出して、大水のようにあたり一ぱいにひろがりました。王子とあとの二人は、その水の中をさがしまわりました。しかし魚はどこへいったものか、いくらさがしてもかげも見えません。火の目小僧はじれったがって、
「おいおいだめだよ、ぶくぶく。こんどはおれの番だ。」と言いました。ぶくぶくはしかたなしにいそいでからだをちぢめました。それと一しょに、水は一どにもとの泉へかえりました。
火の目小僧は、水がすっかりもとのところへ入《はい》ってしまうと、
「よし、来た。」と言いながら、大きく目をむいて、じいっと水の上をにらみつけました。すると二つの目からは、例のように長い焔《ほのお》がしゅうしゅうとび出しました。火の目小僧は、息をもつかないでいつまでもじいっとにらみつづけににらんでいました。
ですからしまいには、泉一ぱいの水が、その焔でぐらぐらとわきたって、ちょうど大釜《おおがま》のお湯がふきこぼれるように、土の上へふき上《あが》って来ました。そのうち
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