取られてしまうのですから、王さまも、これはゆだんがならないとお思いになりました。
それで王女をこっそりとおよびになって、
「今晩は魔法のおくの手をすっかり出して、かならずにげ出しておくれ。もし、しくじったら、おまえもただではおかないぞ。」ときびしくお言いわたしになりました。
王女は、
「かしこまりました。今晩こそは、きっとあの人たちをまかしてやります。」と言いました。
その間《あいだ》に、王子はまたぶくぶくと長々と火の目小僧の三人をあつめて、今晩の手くばりをきめました。
「ではしっかりたのむよ。下手《へた》をすると、私ばかりではない、おまえたち三人のくびもとぶのだよ。」と、王子は笑いながらこう言いました。長々たち三人は、
「なに、だいじょうぶでございます。」と、すましていました。
そのうちにすっかり日がくれました。
王子はそれと一しょに、王女のお部屋へいって、昨夜《ゆうべ》と同じように、王女と向き合っていす[#「いす」に傍点]にかけました。
王子はもう今晩こそは、どんなことがあっても眠らないつもりで、息をのんで番をしていました。
すると王女は、しばらくたつと、またれいのよ
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