くに言つてもよい。その時「以來」('since')起つた事件は after then に起きたと言ふのと同じである。併し、もう遲い「から」('since')寢ませう、といふ時には、'since' は because の意味をもつてゐる。「次に」('next')爲さんとする事は after this に爲さんとする事である。併し、「次に」('next')それを爲す時は、それを再び(again)する時である。それから此の「次に」('next')在る家は、それに nearest の家である。「何時も」('always')は大概 at all times で言ひ表はされる。又私は「何時も變らず」('always')貴方の友人となりませう、といふやうに、特に未來のことを考へてゐる時は、for ever を用ゐるのが一層適切である。Without change 及び without end は他の之に類した意味を表はすに適當な句である。「若し……でなければ」('unless')といふ言ひ方は if と not とを以て簡單に言ひ表はし得る。例へば It will not be done 'unless' I do it. は It will not be done if I do not do it. となる。
(4) 'busy,' 'deaf,' 'world,' 'life,' 'husband' 等の意味を表はす語句、
「忙しい」('busy')人は單に a man with much business と言つてよい。併し、一般に He is working hard. 或は He has much to do. と言つた方が一層適切である。「聾の」('deaf')人はそのhearing(聽力)が惡い人である。「世界」('world')は我々の住む地球全體に就いて話してゐる時は、the earth である。併し、「世界中」驚かされた、といふ場合には everyone を用ゐる。なほ別な意味で、例へば「世の中」は變つて行くの「世の中」は things 或は conditions と言つてよい。「生命」('life')をもつてゐるものは、existence をもつてゐるものである。併し、'life' が「生命」をもつてゐるもの、即ち、生きたもの、の意味に用ゐられる場合には、之を living things 或は all living things と言ふ。'life'「人生」は living でも言ひ表はし得る場合がある。例へば、Living is interesting. と言ふが如し。'husband'「夫」は一般的に言つて、married man に當る。併し、文の中に出て來る時は、他の言ひ方が一層都合のよいことがある。例へば、her first 'husband' は the man she was first married to と言ひ得る。併し、How is your 'husband' to−day? と尋ねる時は、Basicでは How is Mr. X to−day? と言ふのである。このやうに Basic を使用する時には、自分の言はんとすることの要點は何であるかといふことを先づ考へてみることが必要である。
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※[#ローマ数字5、1−13−25]. ベーシックと英語教育
(1) 外國語の學習に於いて、唯暗記力にのみ訴へ、機械的に覺えさせようとするのは徒に記憶力の負擔を重くして、學習者に屡※[#二の字点、1−2−22]嫌惡の情を起させるばかりでなく、外國語教授の持つ思考力鍛錬の特質を全く顧みざるものである。青少年の精神的能力にとつて甚だ宜しくないことである。然るに Basic はその本來の性質上意味を分析的に考へて行くのであるから、思考力の活用を要求することになる。此點 Basic は極めて動的である。英文和譯等に於いて少しも原文の意味、脈絡に留意することなく、唯所謂逐語譯を施して能事終れりとする傾向が多く見受けられる。又パラフレーズの場合も殆ど同樣である。パラフレーズによつて新しい表現を覺えさせる事も一つの目的であらうが、最も重要な目的は本文を了解させるにある。從つてパラフレーズの方が本文よりも難しくなつたら其の價値は半減したと言つてもよい。然るに Basic では語數に限りがあり、要素的な語彙のみを活用しなければならぬので、唯同じ水準の同意語で言ひ換へるといふ機械的の技術のみによる方法を許さない。どうしても内部に一段と掘下げて行つて、原文の意味を論理的に分析して、よく究明することが必要となる。故に文全體の意味を常に念頭に置くやうになる。それで普通の英語を Basic に言換へさせることによつて、生徒の實力をテストする
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