間《ま》に、
ひとり坐りし留守番《るすばん》のその媼《おうな》こそさみしけれ。
耳もきこえず、目も見えず、かくて五月となりぬれば、
微《ほの》かに匂ふ綿くづのそのほこりこそゆかしけれ。
硝子戸棚に白骨《はつこつ》のひとり立てるも珍《めづ》らかに、
水路《すゐろ》のほとり月光の斜《ななめ》に射《さ》すもしをらしや。
糸車、糸車、しづかに默《もだ》す手の紡《つむ》ぎ、
その物思《ものおもひ》やはらかにめぐる夕ぞわりなけれ。
水面
ゆふべとなればちりかかる
柳の花粉《こな》のうすあかり、
そのかげに透く水面《みのも》こそ
けふも Ongo [#「Ongo」に「*」の著者註]の眼つきすれ。
またなく病《や》めるおももちの
君がこころにあまゆれば、
渦のひとつは色|變《か》えて
生膽取《いきぎもとり》の眼を見せつ。
恐れてまたも凝視《みつ》むれば
銀の Benjo [#「Benjo」に「*」の著者註]のいろとなり、
ハーモニカとなり、櫂となり、
またもかの兒の眼《め》となりぬ。
柳の花のちりかかる
樋《ゐび》のほとりのやんま釣り、
ひとりつかれて水面《みづのも》に
薄くあまゆる
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