どんぐりの實はかずしれず
水の面《おもて》に唇《くち》つけぬ
お銀小銀のはなしより
どんぐりの實はわがゆめに。
どんぐりの實のおのづから
熟《う》れてなげくや、めづらしく、
祭物見《まつりものみ》の前の夜《よ》を
二人ねむれば、その胸に。
どんぐりの實のなつかしく
落ちてなげけば薄《うす》あかり、
かをる寢息《ねいき》のひまびまや、
どんぐりの實は池水に。
赤い木太刀
赤い木太刀をかつぎつつ、
JOHN はしくしく泣いてゆく。
水天宮のお祭《まつり》が
なぜにこんなにかなしかろ。
悲《かな》しいことはなけれども、
行儀ただしく、人なみに
御輿《みこし》のあとに從へば、
金《きん》の小鳥のヒラヒラが
なぜか、こころをそそのかす。
街《まち》は五月の入日どき、
覗《のぞ》き眼鏡《めがね》がとりどりに
店をひろぐるそのなかを、
赤い木太刀をかつぎつつ、
JOHN はしくしく泣いてゆく。
糸車
糸車、糸車、しづかにふかき手のつむぎ
その糸車やはらかにめぐる夕ぞわりなけれ。
金《きん》と赤との南瓜《たうなす》のふたつ轉《ころ》がる板の間《ま》に、
「共同醫館」の板の
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