金《メツキ》に、
薄青き光線の暈《かさ》かけて慄《わなな》く夜なり。
放埓《はうらつ》のわが悔に、初戀の清き傷手《いたで》に、
秘密おほき少年のフアンタジヤに。
霜はふる。
ややにふる、
來るべき冬の日の幻滅《ヂスイリユジヨン》…………
時は逝く
時は逝く。赤き蒸汽の船腹《ふなばら》の過ぎゆくごとく、
※[#「轂」の「車」に代えて「米」、120−3]倉《こくぐら》の夕日のほめき、
黒猫の美くしき耳鳴《みみなり》のごと、
時は逝く。何時しらず、柔《やはらか》かに陰影《かげ》してぞゆく。
時は逝く。赤き蒸汽の船腹《ふなばら》の過ぎゆくごとく。
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おもひで
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紅き實
日もしらず。
ところもしらず。
美くしう稚兒《ちご》めくひとと
匍ひ寄りて、
桃か、IKURI か、
朱《しゆ》の盆に盛りつとまでを。
餘《よ》は知らず、
また名もしらず。
夢なりや。――
さあれ、おぼろに
朱の盆に盛りつとまでを、
わが見しは
紅き實なりき。
註。Ikuri の果は巴丹杏より稍小さく、杏よりはすこしく大なり、その色血のごとし。
車上
春の夜《よ》なりき
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