みしき曙の見えて
顏青き乞食らのさし覗かぬほどぞ、
しづやかに燃え盡きむ
美くしき蝋燭のその涙…………
註 Tonka John.大きい方の坊つちやん、弟と比較していふ、柳河語。
殆どわが幼年時代の固有名詞として用ゐられたものなり。
人々はまた弟の方をTinka John と呼びならはしぬ。阿蘭陀訛?
初戀
薄らあかりにあかあかと
踊るその子はただひとり。
薄らあかりに涙して
消ゆるその子もただひとり。
薄らあかりに、おもひでに、
踊るそのひと、そのひとり。
泣きにしは
美はしき、そは兎《と》まれ、人妻よ。
ほのかにも唇《くち》ふれて泣きにしは、
君ならじ、我ならじ、その一夜《ひとよ》。
青みゆく蝋《らう》の火と月光《つきかげ》と、
瞬間《たまゆら》にほのぼのとくちつけて
消えにしを、落ちにしを、その一夜。
さるになど光ある御空より
君はまた香《か》を求め泣き給ふ。
あな、あはれ、その一夜、泣きにしは
君ならじ、そのかみのわが少女。
薊の花
今日《けふ》も薊《あざみ》の紫に、
刺《とげ》が光れば日は暮れる。
何時《いつ》か野に來てただひとり
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