る日ざしに
張物《はりもの》する女、
いろいろの日ざしに
もの思ふ女、
柔らかなる日ざしに
張物《はりもの》する女。

 五十三

われは怖る、
その宵のたはむれには似もやらで、
なにごとも忘れたる
今朝《けさ》の赤き唇。

 五十四

いそがしき葬儀屋のとなり、
驛遞《えきてい》の局に似通ふ兩替《りようがえ》のペンキの家に、
われ入りて出づる間《ま》もなく、
折よくも電車むかへて、そそかしく飛びは乘りつれ。
いづくにか行きてあるべき、
ただひとり、ただひとり、指《さ》すかたもなく。

 五十五

明日《あす》こそは
面《かほ》も紅めず、
うちいでて、
あまりりす眩《まば》ゆき園を、
明日こそは
手とり行かまし。

 五十六

色あかきデカメロンの
書《ふみ》に肱つき、
なにごとをか思ひわづらひたまふ。
わかうどの友よ、
美くしきかかる日の夕暮に、さは疎《うと》くたれこめてのみ、
なにごとをか思ひわづらひたまふ。

 五十七

あはれ、鐵雄、
靜かなる汝《な》が顏の蒼さよ、
聲もなきは泣きやしつる、
たよりなき闇の夜を
光りて消ゆる花火に。

 五十八

ほの青く色ある硝子、
透かし見
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